久方ぶりの更新になります
![IMG_0719[1].JPG](https://yamadanoujyou.up.seesaa.net/image/IMG_07195B15D.JPG)
今年の夏に念願の農業用ハウスを借りることが出来ました
鉄骨でビニールではなくてポリカーボネイドという丈夫な樹脂で葺いてある立派なものです。石油を焚いて加温するものではありませんが。自分で建てたら1千万以上の投資となりますので、まさに僥倖といったところでした。
なぜハウスが必要だったかというと、主に二つです。
トマト栽培
トマトはアンデスの乾燥地帯で生まれ育った野菜で、日本に来たのはごく最近の野菜です。いかに日本の品種改良の技術が優れているとはいえ、日本の高温多湿風土には全く合っていません。それなのに、現代日本人はトマトが大好き!トマトが入らない夏野菜セットなんてガッカリですよね?
トマトを露地で無農薬で栽培した場合、まず病気になります野菜の病気の大部分はカビ菌によるものです。日本の夏の気候はカビにとっては最高のコンディションなので、なんの対策もしないとあっさり全滅します。もし病気を免れたとしても、乾燥した後で雨が降るとバンバン実が割れます。急な成長に皮が追い付かずに割れてしまいます。もし割れも回避できたとして、今度は真夏の高温時にオオタバコガやカメムシなどの虫の害が出ます。
ほんとにほんとに、トマトは露地有機では難しいのです。私のところでも様々な策を講じてどうにかこうにか一か月半の間皆さんにお届けするのがやっとでした。はっきり言って、トマトはバリバリ赤字です。
それではハウスを使って栽培した場合はどうでしょう
まず病気の問題ですが、トマトの病気のうち、カビ菌が原因のものは、大体土壌に潜んでいる菌が雨の跳ね返りで茎枝に付着して感染します。これについてはチューブによる点滴灌水で完全に防げます。ウィルスが原因のものは、アブラムシなどの虫が媒介しますので、ハウスに虫が通ることができないネットを張っておけば防げます。
割れについては、灌水をコントロールできますからほぼ防ぐことができます。
虫も先述のようにネットを張れば防ぐことができます。
まあ、このようにすべてうまくいくことはまずありませんが、それでも露地栽培よりもずっと多くのトマトを安定して生産することができます。
味について
ハウスで安定して作れるからと言って、不味かったら意味がありません。
露地のトマトの味は何といってもさわやかなおいしさ!真夏の作業で喉からから汗だらだらにかいたところでなっているトマトをもいでかじるとこの上ないうまさです。つまり、薄味でみずみずしくておいしいのです。私は大好きです。しかし、ひとたび雨が数日続くとスグに味が薄くなりすぎて全くおいしくなくなります。秋の長雨の生き残り(湿気と虫でほぼ死滅するので)トマトほどまずいトマトはありません。逆に晩秋涼しくなって早朝上着を羽織りながらほおばるトマトはびっくりするほど甘いのです!まさにフルーツ。
このように、安定こそしないものの、季節によって味の違いを楽しめるのも露地の醍醐味かもしれません。
ハウス栽培については、実際初めてやり始めたばかりなので体感したわけではありませんが、
土壌診断と施肥設計と水分コントロールによって、再現性の或る味と品質にすることはできるでしょう!
味はアミノ酸や灌水量によるものが大きいので、それらを計算して栽培することで、甘く、コクのある、美味しいトマトを長期間作ることができるはず!できてほしい。
旬とは、トマトの旬とは、ズバリ言うのは難しいんです。そもそも旬という定義が「おいしい」「栄養価が高い」「多く出回り安価」ということだと思いますが、日本古来の野菜ならいざ知れず、遠くアンデスから来たトマトに日本において「三つともそろう旬」はないのが現実なのです。「おいしい」で言ったらやはり冬です。冬のじっくり育った味の濃さと甘さはすばらしい。前述のとおり夏もさわやかな酸味で捨てがたいですが。「栄養価が高い」は七月がリコピン含有量が多いそうです。「多く出回り安価」これも七月ですね。
これらを鑑みて、私の思うトマトの旬は、昼と夜の気温差があり、光が強いわりに高温にならず、虫があまり出回らない
「5〜7月上旬または9〜11月のハウス」です。真夏の露地は人情的には旬ポイですが、農家的には旬ではありません。
もう一つ、このハウスで栽培しようと考えているのは早春(1〜3月)の葉物野菜です。
結局のところ2月に旬を迎える野菜というものは無いのです。基本的には11月の降霜とともに野菜は生命活動を停止し、少しずつ消耗していきます。気温低下で体液の濃度が濃くなることで甘くなったりもしますが、消耗しているので当然ながら栄養価は下がっていきます。
そこで、ハウス内で新鮮な青菜を栽培してみずみずしい葉物をお客様に食べていただこうという趣向です。
このように、ハウス栽培を始めたわけですが、それはおいしくて栄養価の高い新鮮な野菜を年間を通してお客様に届けるためのものなのです。
トマトに関しては、旬が無い日本で旬の気候を作り出すということ
早春の葉物に関しては、旬ものの野菜が無い時期に旬野菜を作り出すということ。
旬じゃない野菜を作るということではありません。