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2017年11月18日

クラウドファンディングを終えて

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科学的な有機農業を実践・広めるため、土壌診断機器を導入するのが目的のこのプロジェクト。
30万円を目標にして始めましたが、それを上回る453000円もの金額が集まりました。
御礼申し上げます

クラウドファンディングというものは、ただお金を集めるというものでは無く、そのもの自体の宣伝だったり、マーケティングだったり、通販の延長だったりいろいろです。
今回の場合は、@機器を購入するためにお金を集めるという目的と、A一般の方がどのくらい土壌診断に対して関心があるかを知るという目的と、B科学的有機農業を知ってもらうという目的と、C山田農場を知ってもらうという目的が主でした。
@については大満足の結果でした。オーバーしたお金は糖度計と硝酸計の購入に充てました
Aについては大失敗というか、あてが外れました。土壌診断機器を導入してから家庭菜園をやっている人向けに有償で土壌診断をするサービスを始めようかと思って、「土壌診断&施肥設計」のリターンを作ったのですがこれが一人しか応募者がいないという始末。今回のリターンの目玉がまったく人気がないのに正直焦りまして、急遽合鴨解体教室と人参ジュースのリターンを追加したわけです。家庭菜園の人はあまり土壌診断に興味がないか、値段が高い、ということはわかりました。
Bこれについては途中土壌診断がどう役に立つのかわからないなどちょくちょくご意見いただき、なるほどと思いながら説明できなかったことをお詫びしたい。この後詳しく書きます。
C山田農場の認知度を上げることは少しできたかなと思います。パトロンのほとんどが知り合いでしたが、必死の広報活動の結果支援せずとも知っていただけたのではないかと思っています。

科学的有機農業について
「科学的」ということに酷くアレルギーがある人たちがいます。今回のクラウドファンディングも「化学肥料をつかうのかしら」とか「化学農薬を使うのかしら」とか言われていたことを知っています。「化学」と「科学」の違いがわからないひとは必ず一定数いて、有機農業界はそういう人たちに支えられてきた事実は否定できません。今でも自然栽培とか自然農法とかのお客はそういう方です。恥ずかしながら、かつての有機農業界では農薬や化学肥料の危険性を大げさに宣伝し、消費者を脅し、恐怖感をあおって高い野菜を売りつけるという風潮がありました。売りつけるほうも悪気がある人はほとんどいません。生産者自身もよくわからないままにいたのです。だから有機農業は広まらなかったのです。40年前に誕生した有機農業は少しずつ広がっているものの、現在でもわずか0.1パーセントの農地を占めるのみ。私が13年前にさる高名な有機農家の下で研修を受けていた時、「有機農業は世界を席巻しますよ、これからは有機の時代です」とよく言われたものですが、有機で新規就農した先輩たちの野菜の出来や売り上げをみて、不安を感じざるを得ませんでした。
そんな研修中に出合ったのが「有機農業の基礎と実際」(小祝政明著)でした。その本には「マグネシウム」だの「マンガン」だのおよそ有機農業とは無縁のような言葉が至る所にちりばめられており、口伝と勘とイデオロギーに支配されていた当時の私の中の有機農業とは全く違うものでした。そのなかで、有機態窒素が植物に直接吸収されることが書いてあったのです。それまで読んだどの本にもそんなことは書かれていませんでした。有機肥料を与えると、たんぱく質→アミノ酸→アンモニア→硝酸と土壌の中で微生物などによって分解されて無機物になって初めて植物に吸収されるという「無機栄養説」しか語られなかったのです。それがアミノ酸やもっと大きい段階で直接植物に吸収されていると。この事実を知ったことで私の中の有機農業は大きく変わりました。つまり、それまでは有機農業というのは化学肥料や農薬の危険性を見てそれにたいするアンチテーゼにしか過ぎなかった(私はエネルギー問題から入ったクチなので、そもそもあまり危険性にはフォーカスしていなかったのですが)のですが、有機農業にも科学的な優位性があるのだ!と確信できたのです。
そして就農してからも小祝氏の本を小脇に抱え、土壌診断を農業センターに依頼し、自分なりに科学的な有機農業に取り組んできました。最近になってようやく普通のサラリーマンほどの収入を得ることができるようになり、土地さえ取り上げられなければ一生この仕事をやっていける自信が付きました。しかし「自分なりの科学的」というものはかなりあいまいで、そもそも農業センターがやってくれる土壌診断は診断項目自体が少なく、小祝氏の提唱するBLOF理論には程遠いもの。しかも土壌を提出して結果が出るまで三週間以上もかかるなど、多品目でくるくる畑を回していく私には非常に使いにくいものだったのです。これで本当に「科学的」と自慢できる野菜を作っているといえるのだろうか、栄養価が高くておいしい野菜をつくっているのだろうか。もっとおいしいくて栄養価がある野菜をたくさん作って、栄養価が高くておいしいですよって言いたいな、と思いました。
そのためには科学です。話がそれましたが本筋に戻して、科学とはなんでしょうか。
科学とは「物事をすじみちを立てて説明するもの」だと私は思っています。その「すじみち」というのが実験や観察から得たもので、これは必ずしも正しいものではありません。ただし、今自分の知識や経験や機械などすべてを使いつくして得たものです。これがないものが「神話」です。『土壌診断をして足りない栄養素を補給して栄養価の高いおいしい野菜を作る』これが私の科学です。『有機農業は堆肥を入れることで土がふかふかになり、美味しくて安全な野菜ができる』これは科学ではありません。
もっとも有機農業における土壌診断(化学性)というのはほんの一部の因子にすぎません。まず物理性があって生物性があって、化学性があります。すべてを書くと朝になるので書きません。

科学的有機農業をすると何が良いのか
「ミネラル豊富な野菜になる」「味がよくなる」「硝酸態窒素が低くなる」「日持ちがする」
これが消費者のメリットです
「収穫量が増える」「自分で生産する野菜に自信が持てる」
これが生産者のメリットです

長く書いてしまいました。ともかくこれからの山田農場による科学的有機農業への取り組みを温かい目で見守っていただけたらありがたいです。そして、パトロンとしてご支援してくださった方、応援してくださった方へ心より御礼申し上げます。



posted by 山田 at 21:08| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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